実例 「相続時精算課税」を利用

このブログの内容は弊社JRSのコンサルティング実例です

 

「相続時精算課税」は国税庁のHPでも詳しく書かれていますので、ここで詳細説明はいたしません。

もちろん、相続時精算課税にもメリット・デメリットの両方がありますが、

何と言っても最大のメリットは、

「ポーンと2500万円の贈与をしても、その時点では贈与税がかからないこと」  です。

 

昨今、「贈与税と相続税の一体化」の議論が進んでいるようですが、

「相続時精算課税」は、正にその流れの先頭を走っている制度だと思います。

 

国税庁のHPでもお分かりいただけると思いますが、

「相続時精算課税」は「納税の繰り延べ」という性格を持っています。

 

本来、この制度を利用せずに2500万円の贈与をしますと、

1000万円近い贈与税がかかります。 ※一般贈与財産のケース

しかし、「相続時精算課税」を利用しますと、贈与した年度の納税額は0円です。

更に、贈与者に相続が発生したとき、相続税が発生しない資産状態だった場合は、

相続時においても納税額は0円です。

 

弊社でアドバイスしたSさんですが、当初の相談は以下のような内容でした。

「まだなんとか大丈夫だが、そろそろ母親の認知症が心配」

「そんな母親のところへ、家を売って欲しいと不動産屋がちょくちょく来ている」

「Sさんが知らないうちに、母親が売買契約にサインしてしまうことが怖い」

 

私からの提案は以下の通りです

「お母さまのご自宅(土地建物)の名義が、例えばSさんであれば安心ですよね?」

「少し調べましたが、お母さまのご自宅の土地建物の評価は2000万円以下だと思います」

「もし、お母さまやご親族すべての方の了解がとれるようでしたら、相続時精算課税を利用して、お母さまのご自宅(土地建物)をSさんへ贈与するという方法があります」

「もしお母さまに相続が発生したとき、相続税がかからない状態であれば、将来的にも税金はかからないはずです」

「最終的にはしっかりと税理士など専門家にご確認された上で実行してくださいね」

 

アドバイスを差し上げてから半年以上経過したころでしょうか、Sさんから連絡がありました

「税理士と司法書士にお願いして、相続時精算課税を利用して母の自宅を私に贈与しました」

「良いアドバイスをいただき、本当に有難うございました」

 

こんなご報告をいただけると嬉しいものですね

 

(考察)

贈与税は現在の税制において最も税率が高い税金です。

それ故、ドーンと大金を贈与する気になれず、相続が起きてから、ようやく子や孫へ資産が移動します。

高齢化社会なので、相続が発生した時には子供も高齢になっていることが少なくありません。

本当は、住宅ローンや養育費で生活にゆとりがない頃に、大きなお金が必要とされているのです。

その意味で、早い段階で、親から子、親から孫へ、資産を移すことができる相続時精算課税は、

とても良い制度だと思っています