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農地売却と開発行為

本ブログは「農地」の売却に関する㈱JRSの実例です。

不動産登記簿の「地目」欄に「田」・「畑」と記載されている土地は「農地」です。

※「山林」は農地ではありません

 

基本、「農業を守る」という国策があるため?か、「農地」は勝手に売買できません。

現状「農地」を将来「宅地」にするための売買は、農地法5条に従い「許可」が必要です。

4ha未満の土地であれば知事の許可が必要で、一般的に申請窓口は農業委員会です。

 

「農地法5条に基づく許可申請?、そんな難しいこと私にはできませんよ!」

殆どの売主さんがそうおっしゃると思いますが、大丈夫です。

申請書はすべて買主側が作成しますので、売主は申請書に記名・捺印するだけです。

※申請書に記載された(買主による)開発内容は、一通り確認してくださいね

宅地開発にあたり、「開発許可」申請が必要かどうかは開発面積によります。

本件の行政地においては開発面積1000㎡以上が許可の対象でしたが、

本件農地の面積は1140㎡でした。

もし1140㎡すべての農地を宅地開発するとなると、開発許可申請が必要になります。

 

開発が許可される条件には、「調整池」と「緑地」の設置義務があります。

本件の場合、開発要綱に定められた面積の「調整池」と「緑地」を設けますと、

ちょうど1宅地に相当するくらいの面積が「調整池」と「緑地」の設置に必要でした。

 

宅地開発する買主にとっては、1140㎡を開発すると、「調整池」と「緑地」を

設置する工事(費用)が必要になりますが、「調整池」と「緑地」は売り物にはなりません。

売り物にならない以上、1宅地分の土地に対しては、購入はするが、価格が付けられません。

売主にとっては、1宅地分(約200㎡)を0円で売却することになります。

 

といういきさつにより、上図のF区画は「畑」のまま残すことにしました。

A~Eの合計面積は940㎡ですので、開発許可の対象にはなりません。

買主は「調整池」や「緑地」を設置する必要がなくなりました。

【補足】

Fだけを農地として残すということについては、都市計画課からの指示もあり、農林課へも相談しました。

「残された狭い農地は、今後、農地として運営できなくなるのでは?」

という指摘が農林課から出るかもしれない・・という心配が都市計画課にあったようです。

この点は、隣接地の畑を同じ方が小作運営していたこともあり、問題ありませんでした。

 

振り返りますと、「農地を売ろうと思うのだが・・」というご相談をいただいてから、

正式な売却依頼を受け、売却完了まで、ほぼ1年かかっています。

1年の内、買主からの「購入申込書」を受領⇒売買完了 までが7か月です。

もし開発許可申請が必要だった場合は、もう数ヶ月かかったたと思います。