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家を売るとき やってはいけないこと

ネットで見かける「家を売るとき やってはいけないこと」という見出し

不動産仲介・コンサルの仕事をしていてネットの閲覧履歴なせいなのか、よく出てきます。

「家をうるとき やってはいけないこと」

「一番高く売れる不動産会社はどこ?」

「高く売るなら/大手6社で比較」

いろいろな見出しで誘ってきますが、多くは複数の仲介業者に「一括査定」を誘う内容です。

複数の査定依頼→その後の成約結果(その1)

下記の実績は、私や弁護士のように、相談者(売主)から不動産売却を相談されたとき、信頼できる複数の不動産会社に 査定依頼→売却 のような作業を何度もしている人でないと得られないデータです。

すべて大手仲介の実績ですが、社名は出せないので伏せて記載します。

 

【事例1】23区内の築浅(数年)のマンション

A社の査定:4578万円

B社の査定:4202万円

成約価格 :4280万円

 

このマンションは築浅のため、過去の成約事例(データ)がなく、査定がやや難しいマンションでした。

大手仲介に限らず、マンションの査定は「過去の成約事例」でほぼほぼ査定値が決まります。

2社の査定値は376万円の開きがありました。

 

売主には私の意見を尊重していただき、一般媒介でA社・B社の2社に売却仲介を依頼しました。

3か月後、偶然ですが2社からの購入申込書が同日に入り、結果としては4280万円で成約しました。

 申込が入った段階でA社とB社が競う形になり、1番手4180万円でしたが、100万円買い上がる結果となったのは、売主にとって嬉しい結果となりました。

この事例で、不動産会社によっては、「査定価格」と「成約価格」には結構な開きがあることがわかると思います。

複数の査定依頼→その後の成約結果(その2)

【事例2】投資用ファミリーマンション

C社の査定:1400万円

D社の査定:1260万円

成約価格 :1100万円

 

このマンションはファミリータイプということもあり、賃借人付のいわゆる投資用マンションとしての過去の成約事例はなく、そのため査定がやや難しい物件でした。

「売却は急がないから最初は高めの価格からスタートしてほしい」という売主の希望もあり、A社に専任媒介で依頼。

A社の売出推奨価格が1400~1540万円だったので、1540万円で売却を開始。

殆ど反応がなく、3か月後に1280万円に価格変更してから少しずつ反応が増え、

最終的に1100万円の購入申込書が入り、成約しました。

C社の当初の査定価格から300万円低い価格であり、査定価格/成約価格の比率は127%、約3割高い査定価格だったことになります。

知っておくべきこと

上記事例以外にも複数の事例がありますが、総じて言えることは、

「査定価格を信用してはいけない」ということです。

本HPでも何度か記載していますが、仲介業者は、「高い査定をすると売主が喜び、売却を任せてくれる」ということを知っています。

私が信頼していて過去に実績もある大手仲介業者を選択して査定依頼しても、上記のように査定額は大きくバラつき、成約価格も査定額からかなり低くなる結果になることがあります。

では、どうすれば良いのか?

査定価格だけで仲介業者を決めないこと

複数の不動産会社に査定依頼をすると、当然ながら、査定報告を受ける回数も増えます。

それが面倒という方は、2社か3社に絞って査定依頼してください。

結果、複数の査定価格が得られます。

 

各社の査定報告書では、最終的な査定価格が算出されるまで、成約事例や売出事例などのデータが採用されます。

特に成約事例は、各社、データベースがほぼ同じなので、同じ成約事例が記載されているはずですが、もし成約事例や売出事例が、査定するマンションとは性格が大きく異なる「敢えて高い成約事例」が記載された査定書は、何かしら作為的な意図(査定価格が高くなる意図)を疑うべきです。

高い成約事例や高い売出事例を採用して査定すれば、当たり前ですが高い査定結果が導かれます。

 

従いまして、例えば大手6社の査定報告書が手元に集まった場合ですが、一番低い査定価格か2番目に低い査定価格が「成約見込価格であろう」程度に判断してください。

売れるであろう価格はそのような見方で判断してください。

※ちなみに前記の【事例1】と【事例2】の弊社査定は、それぞれ4100万円と1180万円でした。

 

成約見込価格が推測できましたら、3か月以内に契約したい場合は査定価格の105%程度、売れるまで半年かかってもよい場合は査定価格110%程度で売り出しするよう心づもりしておきましょう。

 

最後に、売却を依頼する不動産業者の決定ですが、これは、査定書の記載内容や、電話・メールでの営業担当者の対応から、2社か3社に絞っていただき、面倒でも各社(店舗)に出向き、担当者や上席の人間性、加えてお店の雰囲気などをご自身で体感してください。

総合的に「一緒にやって行けそう」と思えた会社に決めてください。

 

どうしても1社に絞り切れない場合は、事例1のように2社に(私としては3社は多いと思います)一般媒介で売却を依頼するのも良いと思います。

 

不動産会社が決まりましたら、一括査定の各社査定値から、ご自身が成約見込価格と売出価格を決めるまでの思考を営業担当者にしっかりと説明してください。