
「買主は偉い!」と勘違いしている人
最近のことですが、ひょっとしたら人生で初めて「こんな人いるんだ!」と驚いた事例です。
正面切って、いや、正確に言うと相手仲介業者経由で聞いた話ですが・・
「だって、私、買主でしょ!」と真剣にお怒りになったという話です。
ことの発端は私が売却依頼を受けている物件へご内覧いだたく日のことでした
売主が12:30にならないと戻らないので、内覧予定を13:00としていました。
そこへ、買主側仲介業者を飛び越して、直接私に「内覧、11時にならないかしら?」と電話が来ました。
売主の事情を説明し、時間変更が難しい旨をお伝えするのと併せて、仲介業者を通してご連絡いただかないと、
私としても勝手に内覧時間の変更はできない旨をお伝えしたところ・・
なんと、無言のまま電話をガチャ切りされました。(笑)
実際にはスマホからの電話でしたので、「ガチャ切り」という表現はおかしいのですが、
昔からの固定電話を使用したことがある方でしたら、この表現、ご理解いただけると思います。
その後、買主側の業者から、
「売主さんの事情はわかるけど、私って、買主じゃない!」と大層お怒りだったと聞きました。
私としては、「えっ?なぜ私が怒られるの?」と、非常に嫌な気持ちにさせられました。
仲介される売物件は分譲物件でもメーカー製品でもない
仲介によって売却される物件は、多数の物件を不特定多数の買主へ売却する分譲物件とは違います。
もっとわかりやすく言えば、大量販売するメーカー製品とは違います。
良くも悪くも、この世に1つしかない物です。
この世に1つしかないものも、大きく分けて2種類に分かれます。
それは、
「とても希少性が高く、誰もが欲しがる物」と、
「どこにでもありそうな物で、欲しければ買うし、欲しくなければ買わない物」
この2種類に分かれます。
例えば、都心の一等地で十分にマンション分譲が可能な1000坪の土地があったとしましょう。
このような土地は、買主をマンション業者に絞ったとしても、ほぼすべてのマンション業者が欲しがります。
そんな土地の売主や売主側仲介業者に対して、
「わが社は大手〇〇地所です」「わが社は大手総合不動産です」と偉そうに買いに来る会社なんて1社もありません。
そんな言い方をしたら、売主側に嫌われて買えなくなります。
同業他社からも羨ましがられるような、そんな大手総合不動産会社であったとしても、
「何とか購入させていただけませんか?」という姿勢が当たり前なのです。
このような希少性高い優良物件の前では、買主はちっとも偉くないのです。
「金の延棒持ってきてもあんな人には売らない」
人は機械ではなく感情を持った生き物です。
「一番高い価格を提示した人に売る」というような機械的な判断をするとは限りません。
昔、「あんな奴には金の延棒持ってきたって売らないよ」と言った売主がいました。
長く住み慣れた土地を売却する方でしたが、隣接地の方のことを相当嫌っていました。
そんなところに、「お隣だから高くても良いから売ってくれませんか?」というオファーが来ました、
通常であれば「良い話」となるところですが、そうではありませんでした。
色々と過去にあった隣接地の方との嫌な思い出を話し出され、「絶対売らない!」
「金の延棒を持ってきても売らない!」とまで言われました。
この世に不動産は1つしかなく、その売主も一人ということが多いです。
売主の癇に障ることをしてしまいますと、どんなに高い金額を提示しても購入できないことはあります。
まして、「私は買主でしょ!」などと言う人は、唯一無二のような優良物件は購入できないでしょう。